BLUE CROW

二次創作非公式小説サイト。

無限の住人の検索結果一覧

タグ「無限の住人」の検索結果は以下のとおりです。

「さしすせそ」

今朝の汁には鼠は入っていなかった。昨日のうちにその辺に落ちてた棒ッ切れとしなびた蔓で作った竿で練造が釣ったと言う小っさい魚を2人で分けた。寝る前に焼いておいたのを朝になって汁にぶち込んだだけの味気無ェ魚汁だ。 練造なんかに釣られるマヌケな魚じゃ腹は満たされない。つーか全ッ然足りねェ。空腹には慣れてるが練造に飯を任せてるとこうなる。鼠を食わされるよりはマシかとも思うが、腹に元々飼ってる虫がグググ...

「春雷」

眠りについてからそう長くはたっていない。浅い眠りは遠雷に打ち破られた。夜に降り出した冷たい雨はまだ止んでおらず、静かに降り続いている。 左腕に倦怠感を感じて顔を向けると、そこにはすうすうと寝息をたてる練造の小さな頭が乗っかっていた。この雷にも気づかないで眠っているところを見れば……いや、そうでなくとも練造が疲れ切っているのは己が一番よく知っている。それに比べたら己の腕のダルさなんてのは屁でも...

「雫」

無理矢理飲まされた苦い汁が喉を落ちていく。口の端からはだらしなく粘った白色が顎を伝い、このところ形があらわれてきた喉仏から鎖骨へと垂れた。練造はいちいち尸良の味を意識することはない。練造は尸良しか知らないのだ。優しく愛撫されることも、ゆっくりと口付けされることも知らない。それは好きな女にしてやるか、あるいはしてもらうものだと思っていたのに、現実はと言うと罵声を浴びせられ、髪を強くつかまれては無理...

「介」

朝飯の後に「苦い」と愚痴りながら漢方を飲んだ尸良が急にぐったりしたかと思うと、見張りを引き連れた医者がやって来た。己は「ああ、いつものことだ」と思いながら膝を抱え、狐の面を見ていた。それでも両肩を担がれた尸良が運ばれていくのが見ないつもりなのに見えてしまう。ガチャリと牢の鍵が掛けられると、三つの足音が遠ざかっていく。急に辺りが寒くなったような気がした。 牢の中は一日中暗くて時間があまりよく判ら...

「散華」

音もなく雪が落ちてくる静かな夜だった。どこまでも平坦な路が続く水戸では山から降りてくる風も海からかけ上がってくる風もなかった。水分を多く含んだ雪がぼとりぼとりと落ちてくるだけで、あとは時おり、囲炉裏の残り火で薪がぱしんと弾けるのが聞こえる。炎のゆらめきに合わせてお互いの身体は赤くなったり見えなくなったりしていた。 尸良が練造の身体を求めるのは万次の手を得てからも変わらなかったが、そのやり方は...

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